奄美大島の南、加計呂麻島、諸鈍(しょどん)の浜辺にディゴ並木がある。このディゴ並木は樹齢やその本数から、世界有数の並木と言われている。渥美清の映画、
「男はつらいよ 紅の花」の舞台にもなっていて、観光名所としても有名な場所だ。
このディゴを保全している樹木医と出会った。別件で打ち合わせをしている中で、ディゴの保全に役立てるために、この木を利用して何か商品化をしたいという話になり、その花で服を染める試作をすることになった。
ディゴは、マメ科の植物で、英語名はCoral Tree.その名の通り夏前にとてもエキゾチックな赤い花が咲く。
昔、山間部の多い奄美では陸路がなく、船で物資を運んでいた。この入江にあるディゴの赤い花は港の目印になっていたそうだ。
5月中旬、そのディゴ並木に花を採集に行った。ちょうど、ディゴは満開を迎えていた。
3年前、樹木医が保全を始めた時には、少ししか咲かなかったようだが、今年はだいぶ咲いていた。浜辺の道に落ちた花を数時間かけて拾い集め、ボタニカルダイという手法で染めてみることにした。
このディゴの花の色のように、情熱的な赤で染まった商品を作れればいいのだけれど。
島の人にとっては、当たり前の日常の風景でも、僕たちにとっては非日常の風景。その美しい風景から新しい価値が生まれればと願っている。
photo & text : Hayato Takasu