GOOD SWELL JOURNAL / ALOHA STORIES

庭の夏

秋谷の丘の上に引っ越して最初の夏が過ぎた。恐れていた風も春ほどは強くなく、庭の雑草の手間だけが面倒なだけだった。しかし、雑草というのは恐ろしいくらいに伸びてくる。とくに蔓系のものは、まるで忍び寄ってくるかのようにじわじわと静かに庭の草花を覆い始める。丘の上だから、斜面に生えている草花は、いつの間にか下から伸びてきた蔓草にのしかかられるように覆われてしまっている。芝生にも侵食し始め、それを剥がすと、ちいさなトゲがこんどは手に纏わりつく。軍手ではまったく役に立たず、革のものに替えて蔓をつかんで引っ張り、剥がす。しかし、それがどこまでも繋がっていて、枝などにも絡みつき、まるでエイリアンの侵入のようにも思えてくる。しかし、そうして駆除しても、また別のところに食指を伸ばし始める。
しかし、そうしてわかったことは、庭の手入れはまめに行なわなくてはならないということで、気がついてからでは遅いのだ。先手先手で芽を摘んでいかないと、他の雑草共々、大きくなってからだと労力が掛かりすぎてしまう。それだけに毎日、少しずつというのが正解のようだ。と、しかし、そんなことがわかっていても、やはりついつい放ったらかしにしてしまうのは、性格だろうか。他の仕事同様、溜めてしまってから焦るということの繰り返しで、どんな場合も懲りるということがない。(H.N)