GOOD SWELL JOURNAL /

Peter Paul and Mary『Carry it on』

最近このPP&Mのボックス・セットばかり聴いている。もう40年くらい前にデビューした人たちだから、かなり古い時代の音楽ということになる。「パフ」などのヒットで当時は日本でも大人気だった。それは1960年代初めのフォーク・ソング・ブームに火を付けることにもなり、ギターを手にして歌を唄うというスタイルを定着させた張本人たちだ。
エレキ・ギターのブームとは対極にあり、不良の音楽と好青年の音楽といった図式もあった。それだけに、PP&Mは一般的に愛されてもいたし、エレキ・ギターのガンガン鳴り響くロックとは違い、親も安心して聴かせることのできる音楽だった。
個人的にはこの人たちの音楽をコピーすることでギターの様々な奏法を覚え、唄うことの楽しさも教えられた。同じように、ベンチャーズ、ビートルズもそうした音楽の楽しさを教えてくれて、どちらかと言えば、それから繋がっていくロックの方が恰好よかったのだが、親に文句を言われずに自由に演れる音楽として、PP&Mの音楽にも馴染んでいた。その後、すっかりロック少年になってしまったから、PP&Mの音楽は忘れかけてもいたし、それを真面目に聴いていたことなども、どこか軟弱なものとしてカムアウトすることができないような時代が長かった。それは、たぶん、当時、一生懸命演っていた人たちも同じような感触を持っていたようにも思う。
しかし、そんな時代も過ぎて、ようやく、その音楽の復権というか、再び親しまれるような時代になったと思う。こうして改めて聴いてみると、その歌声の美しさ、シンプルな演奏、ソフィステケイトされた民謡などを含む楽曲など、その全てが優しく、心和ませるものだからだ。最近のハワイアン・ミュージックの流行など、その気分を味わう前に、こうした熟成された音楽があったことを再認識して欲しいと思う。(h.n)