GOOD SWELL JOURNAL /

LOW KEY PEOPLE #20

10月の終わりに秋谷の丘の上にあるIさん夫妻の家で結婚パーティがあった。Iさんとは、もう20年近くの付き合いになる。S+Cの店を葉山で始める前、そこはギャラリーだったが、そのギャラリーの活動、そしてS+Cの店の在り方など、葉山という地域で始める意味など、最初からその全てを理解してくれた夫妻で、その励ましの言葉には随分助けられてきた。結婚したのは、兄ひとり娘ふたりの、妹のKちゃんで、彼女も、高校生くらいのときから知っているのだが、もうすっかりといい歳になってしまった。実際に結婚したのは何年か前のことで、式を挙げていなかったからと、改めて葉山の森戸神社で行い、友人たちを招いてのパーティになったのだ。この一家とは家族やその友人で夏はよく秋谷海岸でバーベキューを行った。最初は、人もあまり来ることのない浜辺に大きな木の根っ子が流れ着いたので、それを竈にしたら面白いということになり、大きな焚火のようなものだった。辺りの流木などを拾いそれを焚き木にして、アルミホイルに包んだ肉や魚、野菜、パンと、なんでも放り込んで焼くというもので、それが楽しいと、Iさんの子供たちが家を出て、東京に住み始めるまでの数年間、それが続いた。町やスーパーで顔を合わせば、今日やりますかと、その時の気分で、夏でも冬でも、週に一度くらい行っていたときもある。集まる人も、その場に居合わせた人や近所の人といったもので、随分気楽なものだった。そのとき、よく居合わせたのが、Kちゃんの通っていた女子高の同級生たちで、みんな近所だから、すぐに集まってきた。当時、よく、みんなで恋や愛の話をしていた。そして、それから10年ほど経って、Kちゃんの結婚パーティに顔を出したら、そのときの友人たちもみんな集まっていて、当時付き合っていた彼と結婚した人、子供を連れている人など、みんなすっかり落ち着いた感じだった。覚えています? と訊かれると、みんな顔はそのままだから、しっかりと覚えている。このとき、Iさん夫婦にも久しぶりに会った。以前から、八ヶ岳に土地を買い、家を建て住むという計画があり、それがようやく決まったとのこと。来年の夏には移り住むそうだ。丘の上の家は、子供たちに明け渡し、海辺に住み始めてきっと40年くらい経ったIさん夫婦は、今度は山の麓に住む。自分たちなりの心地好い場所、そんなところを新しく探し出した。世代交代の時期がきても、まだまだ、次の土地を求める。そんな感じがした。そんな気持がまだあることが羨ましくもあり、自分たちもまた、腰を落ち着けることなく、新しい精神を宿し、次なる場所、試みを模索し始める時期に入ったような気がする。(h.n)