GOOD SWELL JOURNAL /

LOW KEY PEOPLE #19

丘の上に住んでいると、坂道を上っていくのが辛い。雨の日や暑い日などは、なんでこんなところに住んでしまったのかと思う。とにかく、10分ほど、急な勾配を上り続けなければいけない。だから、近所に住む人たちはたいてい車で移動する。それだけに、みんな気持は同じで、坂道を歩き続ける顔見知りを見かけると、たいては停まってくれて、乗っていきます? と、声を掛けてくれる。もちろん、その逆もある。みんな慣れっこになっていて、素直にドアを開ける。自分の家より、もっと奥に住んでいるMさんを乗せることが多い。こちらの生活パターンと、彼が会社から帰ってくる時間がだいたい同じなので、その時間帯に車で坂を上っていくと、彼の後ろ姿を捜すことになる。Mさんは、よく奥さんと共に近所を歩いていて、夏になると、いつも浜辺で飲んでいる。それだけに車では行けないので、歩くことになる。そんなときに見掛けても、健康のためかなと思い、そのまま行き過ぎる。たいていは昼間、それも坂を下っているときなので、声を掛けても迷惑かなと思ったりもする。夫婦揃ってS+Cのシャツやパンツ姿だから、よく目立つ。先日、こちらが夫婦でバス停に立っていたら、彼らの車を見掛けた。こちらとは逆方向だったので、朝、早く出掛けて家に帰るんだと思っていたら、いつの間にか引き返してきて、いつも乗せてもらってばかりで、ここで知らん顔したら後で何を言われるかわからないと、駅までわざわざ送ってくれた。向こうはこちらのことなど気がついていないと思っていたので、びっくりだ。しかし、近所に仲の好い顔見知りがたくさんいると有り難い。坂道でも、バス停でも、そこでボーっと立っているのを見つけると、みんなどこに行くのと車を停めてくれて、挨拶してくれるし、多少なら、遠回りしてでも行き先に送ってくれたりもする。この前は、東京? と聴くから、ウンと答えたら、じゃあ、一緒に行こうと、やはり近所に住むK女史が、高速道路をどんどん走ってくれて、一気に目的地に着いた。お互い様が、なんとなくゆるく結びついている生活は、日々の生活が豊かだなあと思わせてくれる。今日もこれから東京に行くのだが、そんなことがあるといいなあと思うが、本当にたまにだから、さほど気を遣わず気持よく同乗させてももらえるのだ。(h.n)