GOOD SWELL JOURNAL /

LOW KEY PEOPLE #16

冒険家のUさんは、同じ丘に住んでいて、ときどきはシーカヤックで目の前の海に漕ぎ出す。若いときは、バイクでサファリ・ラリーに出場したり、バハ・カリフォルニアを走り回ったりと、かなり過激な活動をしてきた人だ。最近は、ずっとシーカヤックなどを主体に海洋関係で活躍していて、昨年は、ハワイからミクロネシア、そして日本と、ハワイのナイノア・トンプソンが会得した、古来の伝統航法でもあるスター・ナビゲーションを実践しながらのホクレア号の航海に積極的に参加してきた。ときどき会うと、いつも帽子を被り、髭面の汚い顔をしているので、怪しいヤツと声を掛けると、そっちだって同じじゃねえかと、言い返す挨拶を繰り返している。高校を卒業する娘がいて、アウトリガー・カヌーをやっている彼女も、日本でホクレア号に搭乗した。
この活動は、太平洋の島々は古来から海で繋がっていたのだと、この航海によって実証していくことだ。また、沖縄など地域に残る伝統的な船、航海術、漁法なども、その研究対象にもなっている。彼の活動は、カヌーイストだけでなくサーファーからも一目置かれていて、ホクレア号が稲村ガ崎にやってきたときは、多くのサーファーが出迎えていた。湘南では、ハワイとは兄弟のような関係という気持を持った人が多いから、こうした活動には協力を惜しまない。こちらも、ホクレア号の出港を見届けようと、朝早く出掛けて、彼らの神秘的な儀式やその呼吸などを見ることができた。それに、なんと停泊していたホクレア号のデッキに上がることも出来たのだ。しかし、小さな双胴船で、よく太平洋を渡ることができると思う。天候によってはかなり危険なときもあるのだと思う。航海をバックアップしたのは、小さなクルーザーで、ホクレア号の後をひたすらついて行くのだそうだ。Uさんの話だと、ナイノア・トンプソンの指示はかなり的確で迷うことなく目的地に向かうとのこと。ときどき、そんな話をUさんは酔った席で話してくれる。冒険には縁遠いが、そういう人が近所にいることだけで、こちらもなんだか気持を大きく持つことが出来る。(h.n)