GOOD SWELL JOURNAL /

秋が深まり、冬も近づいてくると、しみじみとした音楽が心に染みいる。昔から名前は知っていたが、よく聴いてこなかったイギリスのシンガー・ソングライターがいる。ラルフ・マクテルという人だ。「ストリート・オブ・ロンドン」というヒット曲があり、70年代の初めには、メアリー・ホプキンにもカヴァーされていた美しいくも切ない曲だ。浮浪者に溢れた街を歌っていて、その歌詞のせいかパンク全盛の頃はセックス・ピストルズもカヴァーしていた。
 そのラルフ・マクテルの「ストリート・オブ・ロンドン」を久々に聴いてみたくなり、60年代の終わり頃に作った曲を集めたアルバムを手に入れてみると、その素晴らしさに、なんでいままで聴いてこなかったのかと悔やまれた。どの曲も、イギリス人ならではの哀愁があるのだ。それは、『ピンク・ムーン』という傑作のあるニック・ドレイクとイメージが重なる。ラルフ・マクテルのマクテルは、盲目のアメリカのブルース・シンガー、ブラインド・ウイリー・マクテルから取っただけに、ブルース曲もあるが、どこかブルースとは違う味わいで、ギターも巧みだ。本人は現在も活動していて、アルバムもたくさん出しているが、まずは、このベストを聴いてみて欲しい。久々に聴いた、「ストリート・オブ・ロンドン」のギター、歌声、メロディなど、とにかく、聴けば聴くほど、どんどん入り込んでしまう。この頃のイギリスのシンガー・ソングライターは、本当にオリジナリティに満ちている。それに、どこか自分たち日本人の心にも素直に入ってくる節回しを持っているようにも思う。
どこかマイナー調の呟きたくなる歌詞、シンプルなメロディが心を締め付けてくるので、まあ、この時期、より深い味わいを感じさせる。(h.n)