GOOD SWELL JOURNAL /

ロンドンは昔からモダンなものが生まれてくる場所だ。アートも音楽も、国民性か歴史がそうさせるのか、インテリジェンスが加味されたような不思議な融合が起こり、育っては、そのオリジナリティで人々を驚かせてきた。そのもっとも大きなものがビートルズとも言えるが(出身はリバプールだから、ローリング・ストーンズやキンクス、それにパンク・ムーヴメントに置き換えてもいいが)、その下地になってきたものは様々にあり、アメリカ同様、アフリカなどから、様々な人種が、この街に集まり、自分たちなりの音楽を形成してきた。『LONDON IS THE PLACE FOR ME』というシリーズのアルバムは、50年代前後、黒人を中心にロンドンで熟成していた音楽を集めたもの。当時流行っていた中南米のカリプソに加え、クウェラ、ハイライフといった、アフリカで育った音楽が、ロンドンでジャズと融合して、自由な音楽の幅を広げていったもの。このアルバムのシリーズは、そんな音楽が丹念に集められていて、人種の坩堝かした街の音楽のそのものがここにある。クール、ホット、ペーソスと、なんとも、そのリズムの陽気さもただ単に陽気なだけではない、どこかウエットな不思議な魅力に溢れている。ジャズ的な難しさもなく、シンプルで、自由気ままな音が全体を包み込んでいて心地好い。古さと新しさの接点もまた興味深い。大衆音楽の原点を聴かされているようだ。とにかく、この夏に聴くにはちょっと、ネオ・モダンでダルでもあり、クール。そんな言い方しかできないが、ロックなどには無い、洒落た生活臭が空間を密やかに埋めていく。(h.n)