GOOD SWELL JOURNAL /

以前ここで紹介したことのあるバシティ・バニヤン(VASHTI BUNYAN)のシングルやデモを集めたアルバムが発売されている。タイトルは、『Some Things Just Stick In Your Mind』。60年代半ばにミック・ジャガーとキース・リチャーズが彼女のために書き下ろしたデビュー・シングル曲のタイトル。もちろん、この曲も収められている。そのルックスの好さから、当時、ミック・ジャガーの恋人と噂があり、大人気だったマリアンヌ・フェイスフルの後を追うはずだったが、マネージャーと上手くいかず、アイドル路線を変更し、70年に、『ジャスト・アナザー・デイ』という自作曲を集めたアルバムを一枚作り、そのまま、業界から消えてしまった人。このアルバムはまったく売れなかったにもかかわらず、傑作として語り継がれ、2000年に入ってようやくCDが発売され、急に脚光を浴びることになる。その後、2002年に新作アルバム、『Lookaftering』を発表し、来日も果たした。このアルバムの内容も期待を裏切ることのない名作。それで、今回、彼女の埋もれたテープが発掘され、それをデビュー・シングルなどと共に2枚組として発売された。個人的には、デビュー時のフランソワーズ・アルディのアルバムとイメージが被る。初々しく楽曲が並ぶ。多少音質が悪くても、何度も、彼女の囁くような、乙女な歌声、作品に酔える。チェスナット・ツリーの下に座って17のピンクの象を見たの。おはようと声を掛けたけど、返事はなかった。と、角砂糖の包みからインスパイアされた曲など、心がくすぐられるものばかり。デモだから、ギターだけのシンプルなバックが好いのかもしれない。とにかく、この春の甘い風の中で聴くには最適。耳障りが好いので何度も何度も聴いてしまうはず。アイドル時代の写真の載るブックレットも付いていて、キュートと素直に感じさせられる、この時代の雰囲気も同時に味わうことができる。(h.n)