GOOD SWELL JOURNAL /

シンガー・ソングライターの基本は、作詞、作曲の能力、そして歌唱力はもちろんだが、それに加え、楽器を器用に弾きこなすということも重要な要素で、それも、独自な奏法や味わいがあればあるほど、逸材として、認識されていくことになる。
1974年、28歳という若さで亡くなってしまった、ニック・ドレイクは、その全てを確実に持ち合わせていた。『ピンク・ムーン』という名作アルバムがあるが、そのピュアな感性は、いまだに追随を許さないほどの美しさと緊張感を保っていることもあり、カルト的なヒーローとして語り継がれてもいる。オープン・チューニングでのギターの巧みさや、歌の豊かさなど、聴けば聴くほど、その真価というものが見えてくる。
そんなニック・ドレイクの後継者と言われている新人が現れた。冒険好きのポーランド人夫婦の息子で、ボルネオで生まれたというダン・アーボライズという人。やがて、スコットランド、イングランドの田舎に移り住み、井戸水を汲み、野菜を育て、古いコテージやゲルのような住居に住んでいたという、ボヘミアン的な印象を受けるミュージシャンだ。そこで描かれた楽曲がもとになって制作されたのが、『アラウンド・イン・サークル』というアルバムで、自由で美しい、流れるようなギターの音色に、優しい歌声を乗せる。秋の景色が少しずつ広がってくる中、これからの季節、癒すような心地好さが漂う。夏はハワイイ的なスラッキー・サウンドもいいが、イギリス的なやや湿りがちな音を部屋に広げるのも悪くない。(h.n)