GOOD SWELL JOURNAL /

年末、新年と掛けて、その空気の冷たさや、クリスマス、お正月ということもあり、気持ちが清くなっていく。どこか心は静謐さを求め、聴く音楽も、そんな気分にぴったりのものが好い。
Vashiti Bunyanと書いて、ヴァシティ・ヴァニヤンと読む。1970年に『Just Another Diamond Day』という唯一のアルバムを出して、その後消息不明、というか、まったく音楽の世界から離れてしまったイギリスの女性シンガーソング・ライターだ。
この人はもともと、マリアンヌ・フェイスフルのようなアイドル歌手としてデビューを果たしたのだが、スターになることもなく、『Just Another Diamond Day』というアルバムを制作し、まったく評価されないと信じ、そのまま旅に出てしまった。しかし、このアルバムは、やがてイギリスのトラッド、フォークというジャンルの中では、名作中の名作として評価され、マニアの間ではそのレコードは幻の一枚と現在でも高値で取り引きされている。
そんなアルバムが1990年にようやくCD化され、広く知られるようにもなったのだが、とにかく、彼女の天使のような歌声、そして透明感のあるメロディ、素朴なアレンジ、どれをとっても心洗われる音楽としか言いようのないものだ。とにかく、このアルバムは必聴なのだが、その彼女が、なんと35年ぶりに新しいアルバム、『Lookaftering』を出した。
35年というブランクがあるものの、その歌声、メロディの美しさは変わらず、この季節には本当にぴったりのもの。で、とにかく聴いて欲しい。寒い冬の朝に聞けば、澄んだ空気の中にその歌声が舞って、清清しさが否応にも増します。
アニマル・コレクティヴという、最近の興味深いグループのアルバムにも参加していて、その作品もヴァシティならではのもので、静謐な音楽を求める人にはお勧めしたい。(h.n)