GOOD SWELL JOURNAL /

ジャック・ニッチェという人がいる。アレンジャー、プロデューサー、コンポーザーとして60年代初期から活躍していた人だ。彼の名前を意識したのは、ニール・ヤングのアルバムにプロデュース、そしてバック・バンドのクレージー・ホースのメンバーとしてもその名前があったからだ。そしてやがて、60年代に数々のヒット曲を制作したフィル・スペクターのアレンジャーとして活躍し、ローリング・ストーンズの「サティスファクション」など初期のヒット曲のピアノなどを担当していたことを知ることとなった。映画のサントラも数多く、『エクソシスト』、『カッコーの巣の上で』などがある。
この、『THE JACK NITZSCHE STORY HEARING IS BELIEVING』は、そのジャック・ニッチェの1962年から79年までの活動を纏めたもので、初期のサーフ・インストものから、スペクター・サウンズ満載のポップス、また、ティム・バックレー、マリアンヌ・フェイスフルのプリデュースなど幅広い活動を伝えるもので、レアなトラックを含め、ポップス史を学ぶ上でも楽しいアルバムだ。残念ながら本人は2000年に亡くなってしまったが、ポップスをひとつのジャンルとして築いてきた職人としてのその偉業は色あせることなく、いまも耳に残るものが多い。秋風が吹いてくる頃、このアルバムをしっかりと聴いて、その歴史を探るのも悪くない。(h.n)