GOOD SWELL JOURNAL /

ナラニ再び

3年ぶりにナラニの美しい歌声が月夜の奄美に響いた。 7月8日の夜、パラダイスストアーのオープニングイベントでナラニ、シグ、クハオが今回は女性の踊り手、ハクを連れて奄美に来てくれた。3年前のイベントに続きがあったのだ。 その夜も3年前と同じように奄美の島唄から始まり、ナラニのチャントとなった。そしてその時には見ることができなかったカヒコ(古典フラ)へと続いた。 カヒコは、神に捧げる宗教的な儀式で、気性の荒い女神ペレの気持ちをなだめるために始まったといわれている。その言葉通り、カヒコは厳粛で力強い儀式だった。 そしてアウアナ(現代フラ)となった。カヒコと一転してアップテンポの歌に合わせの踊りだ。このほとんどの曲をナラニのお母さんが作っているというのだから凄い。 前回はナラニの歌にシグとクハオのフラだったが、今回は女性のフラ、ハクの踊りを目の前で見ることができた。彼女の踊りは本当にしなやかさで美しかった。柔らかくしなやかでいながら、手の指先から足の指先まで神経が行き渡り、その伸びてゆく手、指の先には天からの糸が下りていて、その糸に引っ張られているかのようにどこまでも伸びていくように見えた。 以前ハワイ島に行った時、シグがナラニのハラウ(道場)で彼らの練習風景を見せてくれたことがあった。緊張感のある40畳ぐらいの部屋に激しい練習で息遣いが荒く、汗でぐっしょりになっているハクとクハオがそこにいた。 今日はその時とは違うやさしい笑顔で踊るハクだ。 シグとクハオの2人並んでの踊りはいつもように楽しく盛り上がる。親子の信頼感や絆からくるそのフラは、見ている人達も巻き込み「ヤンヤヤンヤ」の歓声が上がった。 あっという間の1時間が過ぎイベントはお開きになった。楽しかった時間の余韻を楽しむようにゆっくりと立ち上がり帰る人々を見送る為に、ナラニが腰を下ろし再び歌い始めてくれた。そして歌い続けた。 海の上に美しく、艶かしく出ている月。月の明かりに照らされる海。それに向かって歌うナラニ。透きとおるナラニの歌声。島でフラを練習している女の子たちも我慢の限界に達したのか、とうとうナラニの歌に合わせて踊り始めた。そして楽しそうに踊り続けた。 終わりなく続く幸せな光景のようだった。 なんて素晴らしい光景なのだろうか。昔見た黒澤映画の「夢」のワンシーンに出てきそうだった。涙が出た。夢の続きがまた見られるようにと願った。(ht)