GOOD SWELL JOURNAL /

オーロラへ

3月初旬、4年振りにオーロラシューズの工場を訪ねた。ニューヨーク州の北西部、カナダとの国境に近いカユーガレイク河畔にあるオーロラ村というところにオーロラシューズの工場はある。(今までオーロラは町だと思っていましたがオーロラビレッジという看板を見つけて村だと判明しました。)
今回の訪問は、お互いの近況や今後の方向性を確かめることが目的だった。12年前始めて訪れた時と同様に、オーナーのMJ(メリー・ジェーン)が空港まで迎えに来てくれることになった。
「自分でレンタカーを借りて行くよ。」と申し出たのだが 「雪が降っていているかもしれないから迎えに行く。」といって彼女はわざわざ来てくれた。
シラキュースの空港に着くといつもより少しおしゃれをしているMJが笑顔で待っていた。空港からオーロラの村までは以前と変わらず、ぽつんぽつんと家や牧場があるのどかなアメリカの田舎の風景だった。しかし、ここ数年オーロラの近辺はカリフォルニアのナパバレーを目指し、ワイン作りに力を入れていて以前は見かけなかったブドウ畑やワイナリーなんておしゃれなものも出来ていた。村の中心部といっても約100mぐらいなのだが、ホテルや食料品店、アイスクリームショップなども出来ていて、僕の記憶の中での「何もないオーロラ」より飛躍的に発展していた。
その中心部を通り、懐かしい”AURORA SHOE CO”という看板が見えた。工場は発展していく村の中心部とは違い、以前と変わらないオーロラが存在していた。以前は3-4人しかいなかった職人の数は増えているが、それ以外はまったく変わらずに10年以上も同じ型を、同じ道具で、同じように作り続けている工場だった。
作業を中断して出てきた一番古い職人のビルと再会の力強い握手をした。ごつくて作業で汚れている手は本物の職人の手だった。
「本物はいつも全然深刻ではないし、いばったりしない。いかにもそっとしておいてほしそうにもくもくと毎日のことをする人達。」
よしもとばなながコラムで書いていた言葉を思い出した。毎年毎年目まぐるしく変わっていく自分達の環境とは違い、ゆっくりと丁寧に流れる時間がオーロラシューズを作っているのだと改めて思った。
これからのオーロラシューズの方向性をビルのごつごつした手が言葉でなく教えてくれた。(ht)